Neo Sister’s Story










「あっ、ねえ、あれ見て、お兄ちゃん。今度の土曜日にお祭りがあるんだって。ボク、行ってみたいなぁ」


 ボクが見つけたのは、今度の土曜日に近くのお寺でお祭りがあることを知らせるポスター。もちろんお祭りにも興味はあるケド、ボクが一番気になったのは、ホタル狩りの文字と、そこに貼られたホタルの写真だった。


「ねえねえ、一緒に行こうよ。いいでしょ?」


 お兄ちゃんの裾を引っ張りながらおねだりすると、お兄ちゃんはちょっと考え込むような顔をしたケド、すぐににっこり笑いながら「いいよ、一緒に行こう」って言ってくれたんだ。


「やった☆ それじゃあ今度の土曜日、約束だよ☆」


 ホタルなんて見たことないから、すっごく楽しみ☆


妖精群舞 〜fairy rondo〜


「お兄ちゃ〜ん、そろそろ出かけるよ〜」


 出かける準備をしてからお兄ちゃんの部屋のドアを開けると、お兄ちゃんもちょうど着替えが終わったところだったみたい。


「あ、お兄ちゃんも浴衣買ったんだぁ。スッゴク似合ってるよ」


 もしかしたらお兄ちゃんも今日のお祭り、楽しみにしててくれたのカナ……? そうだったら嬉しいナ☆


「エヘヘッ、どぉ? ボクの浴衣、似合ってるカナ……? それとね、せっかく浴衣着てるんだから髪をアップにしてみたんだ。ほらほら、このうなじの辺りそそられない?」


 あーっ! 何よその心のこもってない投げやりな応えかた! まったく失礼しちゃうなぁ……。こういうときはもっと素直に褒めるべきなんじゃないの? まったく……乙女心をなんだと思って……ってそこ笑うところじゃないから!


 ……もーっ、いっつもそうやってはぐらかすんだから……


「とっ、とりあえず早く行こうよ。お祭り始まっちゃうよ」


    *    *    *


「あっ、ホタル狩り会場は向こうだって。お兄ちゃん、早く行ってみよ☆」


 やっぱり人、いっぱいいるね……これじゃはぐれちゃ……あっ、お、お兄ちゃ……いきなり手を握ってそんなにそばに寄られたら……恥ずかしいよ……


 ──へーっ……お兄ちゃん、ボクが人混みにぶつからないように、ちゃんとエスコートしてくれてるんだ……やっぱり……優しいナ……


「うわ──っ、見てみて! スッゴクきれい……」


 一つ一つはペンライトより小っちゃくて薄暗いのに、スッゴクたくさんのホタルが光を放つから、スッゴク幻想的……


「あっ、ねえ、向こうのほうが人が少ないよ」


 ちょっと先のほうに、草が生えた広場があって、そこにもたくさんのホタルの光が見えた。


「行ってみようよ、お兄ちゃん」


 お兄ちゃんの手を引っ張ると、「そんなにあわてるなよ」って言いながらもちゃんとついて来てくれた。


「わぁ──っ、スゴイスゴイ!」


 ボクは両腕を広げて上を見上げながらゆっくりと廻った。草むらのホタルの光もキレイだったケド、ふわふわと空中を漂うホタルの光はまるで光る雪が空中を舞ってるみたい……


 ──でもそのとき……


「……え?! あ……」


 下駄が滑っちゃって、その場にしりもちをついちゃった…… それにちょっとだけ……足をくじいちゃったみたい……


 そんなボクを見かねたのか、お兄ちゃんがゆっくり近づいてきて、ボクの前で振り返りながらゆっくりとかがんだ。そしてボクを促すように肩越しにボクを見る。


「え……? い、いいよ、おんぶなんて恥ずかしいもん……」


 別に負ぶってもらわなくても、これくらいならお兄ちゃんと手をつないでいれば歩けるよ。


 そう言ったんだケド、お兄ちゃんが「こんなときは強がってないで素直に甘えに来い」って言ってくれたから……


 ボクは足の痛みを堪えながらお兄ちゃんの背中にしがみついた。


「ごっ、ごめんね、お兄ちゃん……。ボク、ちょっとはしゃぎ過ぎちゃったみたい……。ねえ、ボク重くない?」


 お兄ちゃんが「大丈夫だよ」って言いながらボクの体を浮かせて持ち上げる。


 ボクはお兄ちゃんの背中に頬を預けた。お兄ちゃんの背中って、広くてあったかい……。いつまでも、ずっとこうしてたいな……。


 お兄ちゃん、大好きだよ……



Fin.







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